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無知蒙昧のモノ語り

映画、音楽、本、雑感などなど好きなものを好き勝手に書いてます。

『グッドナイト・マミー』〜映画感想文〜

 ※今回の記事はちょっとだけネタバレしてます。

 

 

 『グッドナイト・マミー』(2016)

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上演時間 99分

監督・脚本 ベロニカ・フランツ  セベリン・フィアラ

美容整形により人格まで豹変した母親の正体を疑う双子の少年が引き起こす惨劇を描いたオーストリア製サイコスリラー。2014年のシッチェス・カタロニア国際映画祭ほか、世界各地の映画祭で話題となり、米アカデミー外国語映画賞にエントリーするオーストリア代表作品にも選出された。森と畑に囲まれた田舎の一軒家で母親の帰りを待つ9歳の双子の兄弟。ところが、帰ってきた母親は顔の整形手術を受けており、頭部が包帯でぐるぐる巻きになっていた。さらに性格まで別人のように冷たくなってしまい、兄弟は本当に自分たちの母親なのか疑いを抱くように。そして正体を暴くべく彼女を試しはじめるが、その行為は次第にエスカレートしていく。「パラダイス」3部作などで知られる鬼才ウルリッヒザイドル監督の妻で同シリーズの脚本にも参加したベロニカ・フランツと、彼女と2度目のタッグとなるセベリン・フィアラが共同監督を務めた。母親役に「ザ・ファイト 拳に込めたプライド」のスザンネ・ベスト。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(以上、映画.comより)

 

 

 予告編

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 心底、厭な映画です(褒めてます)

 

 

 

 「未体験ゾーンの映画たち 2016」に選ばれた作品ということで鑑賞しました。

 劇場へは間に合わなかったのですが、予告編を見て「これはゾクゾクしそうやでぇ!」と気になっていた作品であります。

 予告編のリンクも貼っておりますので、是非見てください!

 

 

 で、いざ本編を鑑賞してみると、この予告編が本当によくできた予告編だとわかりました。

 「思っていた映画と違うじゃねぇか!!(歓喜)」みたいな感じです(笑)

 ここでちょっとだけネタバレしますと、予告編で見れる「カサカサした虫が口に入って次の瞬間ボリボリしてるシーン」は、うまく編集された映像です(笑)

 

 

 本編の話をしますと、「美容整形手術で顔面を包帯グルグルにして帰ってきたお母さんが、どうも様子がおかしい。この人、お母さんじゃない!!」と双子の兄弟が、母親(?)の謎に迫っていくというストーリーです。

 最近では、M・ナイト・シャマランによる「ヴィジット」を思い出すストーリーですね。流行ってるんですかね?

 

  まぁこういったホラーやミステリーは見慣れているので、鑑賞前はなんとなくタカをくくっていたのですが、物語は予想外の展開に、、、

  

 という構成になっているのですが、勘のいい人は結構序盤で真相に気づきます(笑)

 

 正直に言いますと、僕は冒頭のシーンでなんとなくわかってしまったため、映画に仕掛けられたトリックにさほど驚けなかったです(笑)

 

 伏線の張り方自体は、怖さを助長するように仕掛けられていて上手いとは思うのですが、親切すぎるほど提示されているので、そこはかなり勿体ないなぁと感じました。

 真相がわかってしまうと、ミスリード演出がかなり強引だったと感じてしまうのが本作の弱点だと思います。

 

 

 が、本作の魅力は「大どんでん返し!」的なものでは無いため、真相がわかってもこの映画は楽しめます!

 

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 「どんでん返しこそがウケる要素だと思ってたよ」

 

 

 まず、グラフィカルで冷たい映像が怖いです。

 廊下の撮り方やシンメトリックな画面が多い点でなんとなくキューブリックを意識していると思われるのですが、色のトーンや絵画的に切り取られた画面が、綺麗だけど不気味という感じになっているんじゃないかなと思います。

 

 母親のキャラクターも良いです。誰かわからない包帯グルグルの顔も良いのですが、なんかヨレヨレのワンピース着てたり、異常な程神経質だったり、関わりたくねぇ感ビンビンです(笑)

 

 ただ、僕が一番怖かったのが主人公の双子の兄弟です。

 ホラー映画で「双子の子供」というだけでちょっとブキミ感ありません?(あくまでホラーに出てくる双子です)

 

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 よくみると壁が総柄な感じとかよく似ていますね。

 

 

 

 ただでさえ似ているのに、途中から母親を惑わすために髪型と服装を全く一緒にするので、同じ人間が二人いるように見えてくるのです。

 母親が喋りかけても、見分けがついていないとどっちに喋っているのかわからなくなる。

 

 母親も誰だかわからないし双子も見分けがつかないから、誰が本当のことを言っているのかわからない。しかも全員がちょっと異常。

 

 この状況を冷たい映像で客観的に見せることで、背筋がゾクゾクしてくる怖さを味わえるようになっています。

 

 これだけでも十分静かなホラーとして楽しめるのですが、僕が「厭な映画」と評したのは、無自覚な狂気が心底怖いからです。

 

 主人公の双子が、母親に色々仕掛けるんですがそれが本当にいき過ぎてまして。

 顔に虫眼鏡を使って黒子を作ろうとしたり、母親が騒いでうるさいと思ったら接着剤を使って口を閉じたり。

 この辺り、子供ゆえの無邪気な暴力性がむき出しになってて本当にイヤな気分になります。

 

 で、極め付けは予告編でも出てきました「黒いアイツ」

 とにかく大量に出てくるソイツが生理的に無理です(笑)

 これは人を怖がらす手段として反則です(笑)無条件に出てくるだけぞわぞわする(笑)しかも鳴き声までついてるし、、、

 

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 そんなわけで総合的に「厭な映画」というのが一番しっくりくる表現になりました。

 最終的にすごく哀しい結末になるのですが、これに関しては解釈が分かれる部分かもしれません。

 

 家族の絆とは。死を乗り越えることとは。人間の弱さが起こしたすれ違いの悲劇なのかなと僕は思いました。

 

 

 ホラー映画のよくある展開ともいえるストーリーをビジュアルと不気味のアイデアの斬新さで魅せた作品だと思いました。

 

 とにかく画的にゾクゾクしたい!気持ち悪いモノを見るという楽しさ、正に未体験ゾーンの楽しさを味わえる一本。

 

 個人的には「悪を呼ぶ少年」とセットで観るのがオススメです!!

 

 

 

 

シャマランのヒップホップ映画です。最高!

ヴィジット (字幕版)

 

本作はこれに確実にインスパイアされてます。子供ゆえの恐怖

悪を呼ぶ少年 [DVD]

『シン・ゴジラ』〜映画感想文〜

※今回の記事はかなりネタバレしてます。

※個人的な思いが多く含まれていますので長文です。

 

 

シン・ゴジラ』(2016)

 

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上映時間  119分

総監督・脚本・ 編集 庵野秀明  監督・特技監督 樋口真嗣

ゴジラ FINAL WARS」(2004)以来12年ぶりに東宝が製作したオリジナルの「ゴジラ」映画。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が総監督・脚本を務め、「のぼうの城」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の樋口真嗣が監督、同じく「のぼうの城」「進撃の巨人」などで特撮監督を務めた尾上克郎を准監督に迎え、ハリウッド版「GODZILLA」に登場したゴジラを上回る、体長118.5メートルという史上最大のゴジラをフルCGでスクリーンに描き出す。内閣官房副長官・矢口蘭堂を演じる長谷川博己内閣総理大臣補佐官・赤坂秀樹役の竹野内豊、米国大統領特使カヨコ・アン・パタースン役の石原さとみをメインキャストに、キャストには総勢328人が出演。加えて、狂言師野村萬斎ゴジラモーションキャプチャーアクターとして参加している。(以上、映画.comより)

 

 

 

 予告編 

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 とにかく観てください。今すぐチケットを予約してください。絶対に映画館で。オススメです!!

 

 

 公開から2週間、すでに興行収入が20億を突破した本作、普段映画館に行かない層の人たちも足を運んでいるようで本当に嬉しいですね。

 僕も、公開2日目と今週の月曜日の2回観に行ってまいりました。

 2回とも劇場はほぼ満員、若い人も多かったのですが40〜50代らしき方々が多かった印象です。

  終わった後、おじさん達がしみじみと「よかったな」と言っていたのにジンときました(笑)

 

 

 前提として、僕はそんなにゴジラに詳しくありません。もちろん小さい頃はゴジラ映画を観に行ってましたし、ゴジラは大好きですが、明確に記憶に残っているのは大学時代になってから観た1954年「ゴジラ」と「ゴジラヘドラ」ぐらいでして。。。

 

 ちなみに実家に置いてあったパンフレットを探したら、マイファーストゴジラは「ゴジラVSデストロイア」でした。

 

 このゴジラですね。体が赤くなっているのがカッコイイです。めっちゃ人形の尻尾が取れやすかったのを覚えてます(笑)

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 それからエメリッヒゴジラ、ミレニアムシリーズを「ゴジラ×メカゴジラ」まで観てゴジラを卒業しました。

 そんな感じの距離感ですが、本作の制作発表が出た時はめちゃくちゃ嬉しかったです。ギャレスエドワーズ版ゴジラを観て、なんか違うなぁと思っていたので(映画は楽しんだけども)

 

 で、もう1つの要素が庵野秀明が総監督ということですね。

 庵野ファンとしては「庵野さんがゴジラ、、、でもエヴァの続きはどうした!?」みたいな気持ちになりまして。

 まぁ、映画を観てパンフレットの庵野さんのメッセージを読んでエヴァ早く作れよとか思ってごめんなさい」と謝罪したい気持ちになりましたね。

 それぐらい「シン・ゴジラ」は傑作だと思いました。庵野さんありがとうございます。

 

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 前置きが長くなりましたが、とりあえず極力ネタバレしない程度に書いていこうと思います。

  

 

 

 褒めたいところは山ほどあるのですが、僕が思うこの映画のすごいところは「アニメ的な魅せ方を実写で成功させた」という部分です。

 本作の大きな魅力である会議シーン。もちろん、綿密な取材によるリアリティもすごくて、「あぁ実際に現場はこうなんだろうなぁ」と感じられるし、上の官僚たちの間抜け感も楽しいところ。あと、ものすごいスピードで交わされるほぼ専門用語での会話のグルーヴ感も非常に面白いです。

 

 で、これらに加えて読ませる気のない字幕を出したり、細かくカットを割ってたりして情報量とスピード感がとにかくすごい。

 これはもろにエヴァの経験を生かしてると思うのですが、とにかくこっちが映画に巻き込まれていく感じがして気持ちいいです。

 会話シーンの人物の撮り方もアニメっぽい画なんですが、カットがどんどん変わっていって会話劇でもすごく動きがあります。

 

 普通の映画だったらしっかりセリフ言わせたり演技させるために、長回しとかで撮ったりする箇所があると思うのですが、そこは割り切った編集したことで画的な格好良さとスピード感が出て、早口&専門用語ばっかりの会議シーンを飽きさせないようになっていたと思います。

 

 個人的には矢口蘭堂率いる「巨大生物特設災害対策本部(巨災対)」設置の、机とかパソコンとプリンターが並べられていくシーンが好きですね。プリンターが並べられていくのがカッコイイ映画です。(個人的すぎる感想)

 

 あと、ゴジラ自衛隊の戦闘シーンが画的に超かっこいいとか、兵器の描写が細かくて楽しいとか色々あるんですが、そのあたりと関連して、ゴジラが本当に恐ろしいと思えるところも良いです。

 

 本作のゴジラは本当に強く描かれていて、「勝てねぇだろこれ」と思わされます。

 

 初号機が暴走した時のミサトさん置いときますね。

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 で、そのゴジラの強さを感じる理由として、自衛隊兵器の強さ&怖さが詳細に描かれているところだと思いました。

 

 「兵器を都市で使うとどうなるか」が先述した会議シーンでしっかり言及され、その上で、「兵器を使うまでにどれだけ段階があるか」が描かれるおかげで、「最終手段としての武力」という実感が湧くし、戦闘シーンでも段階を踏んで徐々に強い兵器を投入していくのが細かく描かれるので、「それをもってしても倒せないゴジラの強さ」が実感できたんじゃないかと思いました。

 

 ゴジラの造形も"怪獣-KAIJU"って感じのある種のキャラクター感より、不気味さ、異質な生物の怖さが強調されててよかったです。歯並び悪いし、狂った目してるし。

 新劇エヴァQと同時上映の「巨神兵東京に現る」の巨神兵と同じような印象を感じました。

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 その他、役者陣もよかったです。「セリフを早口で言わせる」という演出のおかげで、日本映画のダメ演技を回避できていますし、状況の切迫感も増して全員がかっこ良く見えました。

 特に「あぁ、すげぇ頑張った」と思ったのは石原さとみさんですね。昨年の「進撃の巨人」があったので不安だったのですが、アスカとミサトさんを足して2で割った感じの"現実味のないキャラ"を良く演じられていたと思います。

 

今にも「それがNERVの出した結論よ」と言い出しそうな石原さとみ

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 とにかく、わかりやすいプロットにスピード感とカッコイイ映像、”ゴジラという災害に対してどう対応していくか"というシミュレーションが楽しめる映画です。

 

 今年は本当に素晴らしい邦画がたくさんありましたが、ここにきてあらゆる意味で「この国はまだまだやれる」と思える1本が出てきてしまいましたね。

 

 まだ観てない方は是非、今すぐに映画館へ!オススメです!!!

 

 

 

 

 

 というわけで、ここからネタバレ有りでいきます(笑)

 未見の方はそっとページを戻ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なにがよかったかといえば、僕はやっぱりゴジラの怖さ&神々しさです。

 第二形態が出てきた時は、「誰だお前、、、」と思ってギャレゴジの悪夢を思い出したのですが、なるほどそういうことかと。

 

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 でも僕はこいつが一番怖くて、エラみたいなところから血が出て生理的に無理!と思いました(笑)

 なんとなく、このぐらいの生き物の大きさが実際に出てくると一番パニックになると思うんです。

 第四形態までいくと、大きすぎて逆に見とれてしまうというか、、、

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 そこからの東京が破壊されるシーンは、もろに3.11を想起させて本当に辛かったです。コミカルな感じで官僚の間抜けなシーンも挟まれるのですが、正直笑うことができなかったぐらいにショックでした。

 

 

 逆にゴジラの東京大破壊のシーンは怖さよりも、美しさを感じました。

 出血からの音楽の入り方、映像の美しさ、なすすべもなく東京が燃やされていくのに圧倒されて、感動のあまりここで泣きました(笑)

 

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 日本軍の兵器をどれだけ投入しても傷一つ付かなかったゴジラに初めてダメージを与えたのがアメリカ軍の空爆

 気持ちのどこかで「触れてはいけないものを他人が触れた」ことへの虚しさとか、攻撃を受けたゴジラの咆哮に感じた哀しさとか、色んな気持ちがゴジラ放射能熱線が出た瞬間に爆発して、ある種のカタルシスを感じました。

 圧倒的に美しくて恐ろしい場面になっていたと思います。

 

 

 終盤の「ヤシオリ作戦」は宇宙大戦争のマーチと相まって、超楽しかったです。

 在来線爆弾もサイコーでしたし、血液凝固剤を飲ますという「なんじゃそりゃ!」な作戦も寝てる酔っ払いに水を飲ます苦労を思い出して面白かったです。 

 

 

 ただあくまで個人的な思想の問題なのですが、結末にちょっと引っかかりがありました。というのは、明らかに3・11や戦争を意識させる映画で、この結論はどうなのかと。

 ヤシオリ作戦で一先ず対処できたものの、あの作戦で多くの人が亡くなったわけで、それを踏まえて「スクラップ&ビルドで日本は成長してきた」と政治家が言うのは非常に怖いところがあるなぁと思いました。

 核の申し子であるゴジラ人智科学で押さえ込んで解決、というのは初代ゴジラを踏襲しているのですが、戦後復興というものと3・11後の復興のあり方ってちょっと違うんじゃないかとか。

 

 少なくとも、少しでいいから観客が感情移入する側(矢口チーム)の人間が死ぬシーンは描いてもよかったのではと思います。

 ヤシオリ作戦中に矢口が無念の想いから目を瞑り、それでも続けるという意思で目を開けるシーンの切実さがより強いものになったと思います。

 

 ただこの映画、というか庵野秀明という人はそういうことを描く気が更々無く、「自分の思うゴジラの在り方をカッコ良く描きたい」という気持ちで作ったと思うので、そもそも伝えたいメッセージとかは無いんだと思います。

 本作は、ゴジラという実はメッセージ性の強い題材が、彼の「破壊することでその大切さを描く」という作家性とマッチした結果の作品だと、二回見て思いました

 

 

 それにしても、特に訴えかけてきてるわけでもないのに、こっちが勝手に受け取って考え始めてしまうのはつくづくエヴァっぽいなぁと(笑)

 

 

 鑑賞中こんなにもワクワクして感動して、終わったあと悶々と色々考え込んでしまう作品はそれだけで価値があるし、本作に関して言えば、日本の特撮映画の希望のようにも感じられてすごく嬉しかったです。

 

 これからは、エヴァはもちろん庵野さんの実写映画を待ち、他の日本のクリエイターが「私は好きにした、君らも好きにしろ」という庵野さんからのメッセージを受けて、色んな素晴らしい作品が出てくるのを楽しみにしながら生きていこうと思いました(大げさ)

 

 本当に傑作でした!!庵野さんありがとう!!

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記念すべき初代ゴジラ 本作観て、これを観て、もう一度映画館へ!

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欲しいけどちょっとお値段が、、、

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ

 

 

これも意識されたましたね

日本のいちばん長い日 [東宝DVD名作セレクション]

『残穢-住んではいけない部屋-』〜映画感想文〜

※この記事はちょっとだけネタバレしています。

 

 

 『残穢-住んではいけない部屋-』(2016)

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 上映時間 107分

 監督 中村義洋 脚本 鈴木謙一

小野不由美による第26回山本周五郎賞受賞の同名ホラー小説を「予告犯」「白ゆき姫殺人事件」の中村義洋監督により映画化。小説家の「私」に、読者である女子大生の久保さんから届いた一通の手紙。「住んでいる部屋で奇妙な音がする」とい書かれたその手紙に、好奇心から「私」と久保さんが調査を開始する。そこで明らかとなったのは、その部屋の過去の住人たちが転居先で自殺や無理心中、殺人などさまざまな事件を引き起こしたという事実だった。彼らは、なぜその部屋ではなく、さまざまな別の場所で不幸に遭ったのか。「私」たちは、ある真相にたどり着き、さらなる事件に巻き込まれることとなる。主人公の「私」役に竹内結子、久保さん役に橋本愛と人気女優が共演し、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一らが脇を固める。(以上、映画.conより)

 

 

 予告編

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 Jホラーのルーツに立ち返り、「語りの怖さ」を取り戻した作品!

 

 

 『鬼談百景』などの小野不由美さんのホラー小説を原作にした本作。

 気になっていたのですが見逃してしまったので、DVDレンタルで鑑賞しました。

 

 えぇ。本作公開時に一人暮らしをしており、予告編を見て「これは今の環境で観るのはヤバい」と思ったから見逃したのです。完全にヒヨりでございます。

 

 

 本作は、「リング」や「呪怨」に代表される、所謂一般的な「Jホラー」ではなく、オリジナルビデオの本当にあった怖い話的な「心霊実話」形式がベースです。

 

 ただ、モキュメンタリー形式のオムニバスではなく、あくまでインタビューが積み重ねられて、少しずつ怪奇現象の全貌が明らかになっていくミステリー的な手法の劇映画として観せているので、中村監督の手がけた「白ゆき姫殺人事件」と似たようなタッチになっています。

 

 

 ここで問題になるのが、ミステリーとホラーの食い合わせです。

 個人的な見解ですが、Jホラーの恐怖は「理に落ちない」という部分が大きいと考えているので、謎解きによって「理に落ちてしまう」と怖さは後退してしまうと思っています。(ハリウッド版リングがミステリー的になった結果、怖くなくなったのがそれ)

 

 

 では、本作はどうだったか。

 結論から言うと、「映画の怖さ」を味わうにはかなり厳しい作品だと思いました。鑑賞中ほとんど怖くない、もっと言えば安心感すら感じる作品でした。

 

 安心感の所以は、先述したミステリー的構成の語り口に緊張感が少ない部分にあると思います。

 

 「違和感の正体を探るうちにどんどん過去の事件と繋がり、、、」みたいな構成は非常に面白いですし、それ自体は良い。

 

 ただ、画面の色調がぼんやりしてて、怖さを感じるような画面になっていない。

 インタビューを受ける一般人の役者が「お芝居」の演技をしてしまっている。

 照明が下手で、画面の中の空間の「作り物」感がすごい。

 竹内結子のキャラクター像および台詞がいまいちわからない(笑)

 

 これらのことがノイズになって、いくら画面の中で恐怖演出があっても、流れで見ている我々としては、そこまで怖いと感じないんですよね。

 そんなことなので、最後の最後に出てくるある仕掛けに「あぁーやっちまったよ、、、それはダサいよ、、、」ってなりました(個人の意見です)

 

 

 ただ、要所に散りばめられた「怖いもの」それ自体は僕は好感を持てました。

 ボヤけた古い写真、画面の隅に映る人影、子供の演出、老人たちの顔(笑)、そして驚くほどチープな霊(笑)

 

 

ブランコ〜♪ブランコ〜♪

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 貞子とか伽倻子みたいに「イェーイ!」って出てくる霊とは違う、独特の気持ち悪い感じ、言って見れば黒沢作品的なものを目指そうとしている気概を感じました!

 

 こちらの記事参照

heinoken.hatenablog.com

 

 

 

 えー、ここまで割とボロクソに言ったわけですが、じゃあこの映画怖くないのかよ、といえばそういう訳ではないです。

 

 むしろ物語としては、心底怖いです。

 この記事書いている途中で、積んでた本が崩れたのですが、本気でビビるくらい引きずってます(笑)

 

 ちょっとした物音、それ自体は気のせいで済ませられる程度の問題。ただそのちょっとしたことが、遠い昔から蓄積された穢れへの入り口かもしれない。

 

 家の中の音、その土地、近所は?、この町自体は?それを気にすることで穢れに触れてしまったら。

 

 過去に何があったなんか知らないし、調べてしまったら穢れに触れるし、知らないままでも穢れの一端がそこにあるし。

 

 

 え、どうしたらいいの?という恐怖。原因はわかったが対処法が無い恐怖。

 

 こういった恐怖をクライマックスで提示して終わられると、景色が今までと違って見えてきちゃうからいい迷惑だよ!!!引きずるじゃねぇか!!

 

 

 

 取り乱しました。すいません。

 とにかく、先述したように映画としてはかなりキツい部類の演出にも関わらず、物語の語っている恐ろしさと、こっちが主人公たちと一緒に引きずり込まれていく語りの上手さだけで、ここまで恐怖を感じることができる映画はなかなか無いのでは?と思います!

 

 これで演出まで完璧に怖かったら、どうなっていたのか、、、

 もしかして僕が感じた安心感は、これ以上怖くしたらダメだという制作側の配慮だったのかもしれない、、、

 

 

 アトラクション的なホラーを期待している人には少々物足りないかもしれません。

 ただ、ホラー映画の「お土産」を感じるにはかなり良い線いった作品なので、これを観て娯楽としての「恐怖の本質」の楽しみ方が広がれば良いなぁと思います。

 

 映画自体は安心して観られるほど怖く無いので、軽い気持ちで観ていただくのがオススメです!!

 

 

 これ相当怖いんだろうなー、、、

残穢 (新潮文庫)

残穢 (新潮文庫)

 

 

 

 

 

『セーラー服と機関銃 -卒業-』〜映画感想文〜

※この記事はちょっとだけネタバレしています。 

 

 『セーラー服と機関銃 -卒業-』(2016)

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 上映時間 118分

 監督 前田弘二 脚本 高田亮 

1981年に製作・公開され、社会現象を巻き起こした薬師丸ひろ子主演の大ヒット映画「セーラー服と機関銃」のその後を描いた赤川次郎の小説を、人気アイドルの橋本環奈主演で実写映画化。橋本にとってはこれが映画初主演となり、長谷川博己安藤政信武田鉄矢ら実力派が共演。脚本は「そこのみにて光輝く」の高田亮、監督は「婚前特急」の前田弘二。かつて弱小ヤクザ・目高組の組長をつとめ、伯父を殺した敵を機関銃で襲撃する事件を起こした18歳の少女・星泉。目高組が解散してからは、商店街の「メダカカフェ」を切り盛りしながら普通の女子高生として平穏な毎日を過ごしていた。ところがある日、モデル詐欺に巻き込まれた友人の相談を受けたことから、彼女の周囲に再び不穏な空気が漂いはじめる。(以上、映画.comより)

 

 予告編

www.youtube.com

 

 

 

 現役アイドルによる、現役アイドルのための、バイオレンス任侠アイドル映画!!

 

 

 ということで今年の3月に観てきました。橋本環奈さん主演の「セーラー服と機関銃-卒業-」

 本日8月3日にBD/DVD発売&動画配信記念ということで、某SNSで書いた記事に加筆して書いていきたいと思います。

 

 角川40周年記念作品にも関わらず、世間的には「大コケ」だったみたいでして、僕が観た回も50代くらいの夫婦と3人でした。まぁこの予告編なら仕方ないですね。見るからに駄作の予感しか伝わらない予告編。

 

 「橋本環奈がラブホではしゃいでる様子が見れるのはこの映画だけ!」くらいの煽りいれてもよかったんじゃないかと思う始末。それなら観に来る輩ももっといたでしょうに。

 

 しかしながら本作は、「えー、アイドル主演で昔の作品のリメイクでしょ。」と思っている人に、「そんなヌルい映画じゃないぞ」と声を大にして言いたい作品です!

 

 「テメェ舐めてっと知らねぇぞ!!」

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 と、そんな本作の感想の前に、相米慎二監督の薬師丸ひろ子版「セーラー服と機関銃」の復習をさせてください(勝手にしやがれ)

 

 赤川次郎の原作は未読なのでなんともいえないですが、とにかくストーリーがめちゃくちゃ。まぁ女子高生がヤクザの組長という設定自体変なので、ハナから「良く出来たストーリー」など期待しちゃいけないと思うのですが(暴論)

 

 しかし、この薬師丸ひろ子版「セーラー服と機関銃」が名作とされているのは、薬師丸ひろ子のアイドル的な魅力と映像的なマジックであると思っています。


 ヤクザの世界に不本意に足を踏み入れ、その不条理さに翻弄されながら大人になっていく星泉薬師丸ひろ子が演じることで、そんな世界の中でそれでもなお残る透明感、少女の神秘性みたいなものが当時のアイドル的魅力、さらには旧作の大きな魅力だと僕は思っています。だからこそ、「セーラー服と機関銃」はアイドル映画として名作であると言えるのです。

 

 また長回しシーンや「ここぞ!」という時の薬師丸ひろ子のアップ、魚眼レンズ撮影、美術や照明の色彩の妙が、先ほどのアイドル的魅力に映像的な説得力を与えている。と、思います。

 

 まぁそんな感じで現代っ子である僕が観ても、最終的に「薬師丸ひろ子、可愛かったなぁ」とまんまと思わされる映画ですね。エンドロールのゲリラ撮影まで含めて。

 

 薬師丸"モンロー"ひろ子

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 では本作、橋本環奈主演の「セーラー服と機関銃-卒業-」はどうだったか。


 結論から言えば、めちゃくちゃ楽しみました。

 先述した旧作の魅力を引き継ぎつつ、全く違う趣きの映画になっていました。

 

 そもそも旧作の続き(パラレル?)の話で、「カ・イ・カ・ン」とマシンガンをぶっ放した後のお話。「いったん足を洗ったけど、ヤクザの世界に引き戻されちゃって...」という物語、しかもそこに現代社会の抱える様々な社会問題(危険ドラッグや高齢化社会の介護など)要素も加わってくるので、旧作と違いハードな物語なのです。

 

 まず、映像的に往年の角川映画を思わせる撮影や編集がとても良いです。
 これを観た少し前に、Q.タランティーノの「ヘイトフル・エイト」を観たのですが(もちろんめちゃくちゃオススメです)、そのときに感じた「昔の映画の匂いを現代に蘇らせる」という感じです。これだけでその映画には価値があると思うのです。

 

 旧作へのオマージュはもちろん、大林宣彦的な回想シーンの表現、エンディングの「時かけ」オマージュなど、さすが角川40周年記念!と思えるスタイル。

 

 相米イズムとも言える長回しもただのオマージュ的に使っているだけでなく、「これぞ映画!」といえる決定的な映像として効果的に使われていたと思います。
 あの長回しシーンは「これぞ映画でしか見れない雨!」って感じでちょっと涙ぐんだな。うん。

 

 また旧作よりビビッドな美術や照明の色彩と撮影が、「昔の映画っぽいのに古く見えない」という効果を生んでいると思います。

 

 人が死ぬ描写もそれなりにしっかり描かれていて、鑑賞時は「あれ、思ってたよりハードだ」と感じました。

 

 中盤、目高組のビルからの逃走というシーンがあるのですが、とある人物たちの不幸な結末と、その後の処理は、戦争映画とか苦手な人は結構キツイかもしれません(笑)普通にヘコみます(笑)

 ただ、この映画の白眉ともいえるシーンになっています。

 東映やくざ映画的なケレン味たっぷりの銃撃戦もあったりして、非常に楽しい(笑)

 

 

 しかし1番驚かされたのは、悪役の安藤政信さんの狂った演技、殺し屋役の奥野瑛太、コメディ要員だけど渋い武田鉄矢など、脇を固める俳優陣
 

 

 

 に、引けを取らない主演橋本環奈の演技力と存在感!

 

 

 さすが1000年に1度の逸材の顔面力。とにかく普通に顔面が整っている。びっくりした。

 

 

 

 びっくりしました。(大事なことなので2回言いました)

 

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 ですが、今回の星泉≒橋本環奈は、「可愛い」より「凛々しい」のです。

 

 先述した映像的なマジックが主演の魅力をさらに引き出す、というのは旧作と同じなのですが、そのベクトルが「可愛さ」より「凛々しさ」に向いている。

 

 で、その結果、ハードな話の中で果敢に戦いに臨み、傷けられながらも「凛々しく」映る星泉≒橋本環奈に「強さ」を感じるようにできていると。

 

 劇中に星泉≒橋本環奈に向かっていわれるセリフも含めて、「今のアイドル映画」だと思いました。


 「可愛らしさ」や「神秘性」が求められていたのが昔の女性アイドルであれば、今のアイドルの多くは「頑張っている姿」、「闘う姿」を応援することで消費されています。

 

 芸能界というハードな世界で切磋琢磨ながら、それでも笑顔でステージに立つ彼女たちの姿と、本作の星泉の姿が僕には被って見えました。それを橋本環奈が演じているので尚更。

 

 この見方でいえば、意外なところで登場する有名な機関銃乱射シーンはラストにもう1度登場するのですが、星泉≒橋本環奈が放つセリフと、その銃口がどこに向けられているかも見所です。

 

 旧作のように、ラストのカタルシスに向けて作られている作品ではない本作のエンディングで橋本環奈が歌う「セーラー服と機関銃」は、薬師丸ひろ子の歌うそれとは違う印象でした。

 

 

 ただ、映画的によくできた作品とは言い難いので、もちろん欠点もあります。

 

 脚本の粗が目立つとか、手ぶれカメラ多用しすぎとか、長谷川博己のキャラがちょっと弱いとか、若干説明不足でヤクザのパワーバランスがいまいち把握できないとか、最後のとってつけた感とか、、、

  

 そしてこれらの細かい粗さが積み重なった結果、現実の問題を扱っているという"リアル"さが中途半端になっていることが目立ってしまった。

 作品内のリアリティの置き方がよくなかったと思います。物語が荒唐無稽でも、作品内のリアリティがしっかり描けていれば、現実の社会問題を意識させられる作品になっていたと思います。

 

 これまで素晴らしい作品を生んできた角川の40周年記念作品。

 荒唐無稽でつまらないと思うかもしれない、必ずしも傑作とは言い難い作品ですが、角川映画史、ひいては日本映画史の中で非常に重要なカルト作品になっていくと思います。

 

 

 角川映画独特の空気感、実験的映像、そして橋本環奈の男気を存分に味わっていただくためにとりあえず、元祖「セーラー服と機関銃」と大林版「時をかける少女」とセットで鑑賞するのがオススメです! 

 

 

 

 

youtu.be

 

 

『貞子VS伽倻子』〜映画感想文〜

 ※この記事はちょっとだけネタバレしています。

 

『貞子VS伽倻子』(2016)

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 上映時間99分

 監督・脚本 白石晃士

「リング」の貞子と「呪怨」の伽椰子というJホラーを代表する恐怖の2大キャラクターの共演が実現した作品。「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズや「ノロイ」「オカルト」などホラー作品を多数手がける白石晃士監督がメガホンをとり、山本美月が主演、玉城ティナ安藤政信らが共演する。その映像を見ると貞子から電話がかかってきて2日後に必ず死んでしまうという「呪いの動画」を見てしまった女子大生の有里。そして、入ったら行方不明になるという「呪いの家」に足を踏み入れてしまった女子高生の鈴香。共に呪いをかけられた2人を救うために立ち上がった霊媒師の経蔵は、貞子と伽椰子を戦わせるという秘策に打って出る。(以上、映画.comより)

 

 予告編

www.youtube.com

 

 

 

 SADAKO v KAYAKO Dawn of ノロイ

 

 

 

 ジャパニーズホラー界の2大スターの共演!どっちが最恐だ!?と話題の本作、観に行ってまいりました。

 平日の夕方でしたが、8割くらい席は埋まってました。何が良いって、ティーンネイジャーらしきグループやら、ワルそうなカップルやら、明らかに普段あまり映画館に来ない人たちがたくさん来てましたね。僕の前にはパツキン盛り盛り、本編ギリギリに入場してしばらくLINEを見てるという「サイコー!!!」なお姉さま二人組がいらっしゃいました。

 

 

 さて、いわずもがなJホラーの大傑作「リング」と「呪怨」の貞子と伽倻子。今や完全にアイコン化してしまってそれ自体怖い存在ではなくなってしまっていますが、僕の中では「リング」とビデオ版「呪怨」が未だに怖かった映画ランキングのトップに君臨しています。

 二人とも「にじり寄ってくる」感じが本当に怖いんですよね、、、

 「何!?え、待って待って、来ないでマジで」的な(ニュアンスだけの文章)

 

 まぁそれ以降、貞子も伽倻子も「幽霊」というか「モンスター」になっていったので、怖がるというよりはアトラクション感覚で観るものとして観ていました。

 

 

 そんな中で、企画された本作。予告や売り出し方からも明らかなように、アトラクション性全開の映画でしたが、意外にも、Jホラー演出も結構丁寧に作ろうとしている印象でした。

 

 

 前半は「呪いのビデオ」をめぐる貞子パートと「呪われる家」をめぐる伽倻子パートが並行して語られていくのですが、それぞれの作品の持つホラー演出の特徴をうまく分けて語っていると思いました。

 

 貞子パートは古典的なJホラー演出(小中理論的)で、冒頭のシーンなんかはかなりよかったと思います。

 すりガラス越しに人影が見えたと思ったら次の瞬間にはいない、なんていうのは本当によくありますが、音とか編集のタイミングなどをちゃんとすれば怖くなるもので、まさに「リング」はその見せ方が完璧だった作品です。

 

 対して伽倻子パートは、ビックリ要素重視、幽霊モロ見せ、ともすれば笑ってしまう(というか結構笑える)ホラー演出でして、これも「呪怨」的な演出だと思いました。

 おそるおそる扉を開けたら猫が飛び出してきてビックリ!からの一安心、からの俊雄クン登場!とか、呪怨シリーズでよく観ましたねー。(ちなみに、三宅隆太氏によるとこれを「なんだ猫か、、、」演出と呼ぶらしいです)

 

なんだ猫か、、、な画像置いときますね。

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 こんな感じで、それぞれの作品の持つ良さの部分を的確に描き分けていて、非常に「リング」呪怨」への愛とリスペクトを感じました。

 

 個人的には、貞子パートのとある女の子の自殺シーンとか良い感じに気持ち悪さは結構怖かったですし、伽倻子パートの呪怨ハウスに入ったガキどもを俊雄がサクサク殺すシーンとかサイコーに楽しかったですね!(満面の笑み)

 あと伽倻子パート終盤、呪怨ハウスに入った鈴花(玉城ティナ)を助けるために、鈴花の両親が呪怨ハウスにシレッと入っちゃった時の「あっ」感(笑)

 前述した僕の前にいたお姉さまが「え、入って良いん?」って呟いてたのが印象的でした(笑)

 

 

 脇を固める役者さんも良い感じでしたねー。

 山本美月さんのちょい下手演技(褒めてます)と美しさも、玉城ティナさんの今にも死にそうな雰囲気(褒めてます)もホラーというジャンル映画の醍醐味ですし、うさんくさい先生役の甲本雅裕さん、「あ、こいつ死ぬな」感プンプンの霊媒師役の田中美里さんも素晴らしかったです!

 

 しかし何より特筆すべきは夏美を演じる佐津川愛美さんですよ!!

 「ヒメアノ〜ル」の記事でもその魅力を絶賛しましたが、本作もかなり良いです。破滅的になっていく夏美の演技は、かなり良い感じに絶望を表現していたと思います。佐津川さん素晴らしい。

 あと「ヒメアノ〜ル」もそうでしたが佐津川さん、「性と暴力」を感じるシーン多い気がします。あくまで個人の意見ですが。

 

 で、後半。ここからは白石ワールド炸裂です。

 謎の霊能力者コンビの経蔵(安藤政信)と珠緒(菊地麻衣)

 ざっくりした作戦を用意し、いざ決戦へ!!

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 死地(呪怨ハウス)に向かう姿はさながらワイルドバンチ!!

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 そして待ちわびた貞子と伽倻子(&俊雄)の直接対決!!いったいどう戦うんだ!!

 最終決戦の末、予想だにしない結末に爆笑!!

 

 

 これは是非、自分の目で確認してくださいね。

 

 

 で、ここからは上記の褒めポイント&僕の楽しみ具合を前提に、不満点を書いていきます。

 

 

 まずこれが一番の問題だと思うのですが、前半のホラーパートがそれほど怖くない。

 先述した通り、かなり丁寧に作ろうとはしているのですが、並行して語ることで結局怖い映像100連発!みたいな感じに散漫なってしまっていると思います。

 怖いっぽい映像を見せられても、映画ではそこまでの予兆の時間をいかに丁寧に作るかが重要なので、かなり怖さが目減りしてしまっている印象でした。だからといってこれ以上長くされても嫌ですが。

 

 前半は本当に怖くできる余地がかなりある分、勿体ないなと思ってしまいました。

 

 

 これも致命的ですが、あれだけ楽しみにしていた貞子と伽倻子のバトルシーンが短い。

 バトル自体、割とあっさり終わってしまうので非常に物足りなさを感じました。

 もっと色々な戦い方ができたはずです。俊雄なんか一瞬で退場ですし。人間が勝って解決という展開にならないのは前提なので、もっと両者のバトルを見たかったなぁと。

 最終的な結果には満足してるんだけどなー、、、

 

 あと、これは完全に個人的にですが、細かいディテールの雑さとか珠緒がウザさが気になってしまいましたね。

 

 

 というわけで、アトラクション方向に振り切るなら完全に振り切ってほしいし、オリジナルの両作に対する愛とリスペクトを感じるだけに、そこは徹底的に怖くしてほしかったです。中途半端に収まり良くまとめちゃった感は否めないです。

 

 

 まぁ色々言いましたが、ホラー映画にはやっぱりジャンル映画的な側面があります。だから、劇場の雰囲気や他のお客さんの反応込みで楽しむことができます。

 僕で言うと、叫んだり爆笑したりのパツキンお姉さま方がサイコーにおもしろかったし、もちろん映画も楽しんだのですが、そういう雰囲気が嬉しくて、結果的にすごい満足度の高い映画体験でした!

 

 ですので本作は、できれば映画館で、ビテオでもできるだけ大勢の人と一緒にキャッキャ言いながら観るのがオススメです!!

 

 

聖飢魔IIの歌うEDも超楽しい感じでしたよ!

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小説版も出てますねー

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『クリーピー 偽りの隣人』〜映画感想文〜

 ※この記事はちょっとだけネタバレしています

 

 

 『クリーピー 偽りの隣人』(2016)

 

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 上映時間130分

 監督・黒沢清 脚本・黒沢清、池田千尋

 「岸辺の旅」でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞した黒沢清監督が、日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した前川裕の小説「クリーピー」を実写映画化したサスペンススリラー。「東南角部屋二階の女」で長編監督デビューした池田千尋と黒沢監督が共同脚本を手がけ、奇妙な隣人に翻弄されるうちに深い闇に引きずり込まれていく夫婦の恐怖を、原作とは異なる映画オリジナルの展開で描き出す。元刑事の犯罪心理学者・高倉は、刑事時代の同僚である野上から、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼され、唯一の生き残りである長女の記憶を探るが真相にたどり着けずにいた。そんな折、新居に引っ越した高倉と妻の康子は、隣人の西野一家にどこか違和感を抱いていた。ある日、高倉夫妻の家に西野の娘・澪が駆け込んできて、実は西野が父親ではなく全くの他人であるという驚くべき事実を打ち明ける。主人公の犯罪心理学者を西島秀俊、不気味な隣人を香川照之が演じるほか、竹内結子東出昌大ら豪華キャストが集結。(以上、映画.comより)

 

 

 

 予告編

www.youtube.com

 

 

 

 

 ええぇ!?お父さんじゃ無いんですかぁ!?、、、いいと思います、そういうの。(劇中の香川さん風に)

 

 

 「CURE」「トウキョウソナタ」などの黒沢清監督の最新作ということで、観に行ってまいりました。

 西島秀俊竹内結子香川照之という豪華キャストだけあって、老若男女さまざまな人でほぼ満席に近い状態でしたね。で、笑うポイントでは笑い声もあったし、ビックリするポイントでは隣のお姉さんが結構な勢いで飛び上がってたりして、なかなかいい雰囲気で観れました。

 

 黒沢監督というと、僕的には「回路」が好きでして、テレビに映される白黒の人の写真の嫌な感じとか、最初に登場する「ヒトならざる存在」の動きには今まで発したことのない驚いた声(うわぁえいぃ!?!?みたいな)が出るくらいビビりました。あと鑑賞後しばらくは「よくわからん黒いシミ」を見るといやぁ〜な気持ちになるくらい後に引きずってましたね。

 

 

 そんな感じで、黒沢作品の「怖さ」っていうのは、「ふとした瞬間に、日常にある別世界へのスイッチを入れてしまった怖さ」だと思っておりまして。

 こちら側としてはなんてことないことがきっかけで、全くこっちの論理が通用しない世界と繋がってしまって、どんどんあっち側の磁場に引っ張られてしまう、という作品を作ってこられた監督だと思います。

 そういう意味で所謂「リアル」ではなく、ある種ファンタジー的な作品が多く、その「リアリティ」と「ファンタジー」の線引きが微妙かつ大胆なので、わかりやすいエンターテイメント性とは相性が悪い、飲み込みづらい作品になってしまうというのが、僕の黒沢作品に対する印象です。(矛盾しまくりの文章ですいません。。形容できない。。)

 逆に言えば、飲み込みづらさ=理に落ちなさこそが「恐怖」の本質であると僕は思うので、黒沢作品の怖さはビビりながらも大好きです(笑)

  

 はい、長々と前置きをしましたが、それでは本作はどうだったか。

 

 結論から言えば、今までの黒沢作品の特徴とエンタメ性のバランスがいい塩梅でとれた作品だったと思います。

 

 

 実際、映画館のエレベーターの会話で、二人組の女性が「なんかめっちゃ怖かったんだけど、結局香川さんなんだったの、、、」みたいな会話が聞こえてきて、「我が意を得たり!!」という感じでした(笑)

 

 ミステリー的なわかりやすい構造で、ある意味観客も安心してついていける物語ですが、様々な黒沢監督的な「違和感」のディテールが詰め込まれてて、黒沢作品好きとしてはサービス満点じゃねぇか!という感じです。

 で、その「違和感」のディテールこそが黒沢作品の怖さの根源であると。

 

 とにかく映画全体が嫌な感じで満ちているのが黒沢作品の魅力なんですが、本作も御多分に洩れずその魅力が満載です。

 

 白い窓枠が映っているだけなのに不吉!家の玄関口が映っているだけなのになんか薄暗くて、風とか吹いててなんかヤダ!建物の入り口の半透明のビニールカーテンがピラピラしててキモい!!急にカメラが上がっていって、上から地形を取っているだけなのに不気味!!!

 

 先に挙げた例は、まだホラー演出としてわかる感じですが、あからさまに怖くないはずの場面でもそれが仕掛けられていまして。

 

 高倉が勤務先である大学のガラス張りになった明るい場所で、早紀(川口春奈)を事情聴取するシーンがあるんですが、背景のエキストラの動きが明らかに計算された動きをしています。

 談笑している男子学生があるポイントで、何の脈絡もなくこちら側を凝視してきたり、話が核心に近づくに連れて一斉に学生が帰り始めたりと、背景がやたら気になる感じの画面になっています。

 このシーンでの照明も非常に特徴的ですね。核心に近づくにつれてどんどん照明が暗くなっていって、背景のエキストラもいなくなって。

 要するに画面を抽象化して、高倉と早紀だけの世界(もしくは高倉だけの世界)に見せる演出なんですが、まさに映画的な画面になっててサイコーです。

 

 

 そういった背景にたくさん気持ち悪さの仕掛けがされていて、下手したら気付かないレベルですが無意識に気持ち悪さを感じ取ってしまう演出が積み重ねられているさすがの黒沢節です。

 

 本作の「違和感」の大半を占めているのが、なんといっても香川照之さん演じる西野というキャラクター。

 一見ただの気持ち悪い人(それだけでも嫌)ですが、まぁ会話はできる。でもなんとなく会話が成り立っていない。

 

 前半の西野が出てくるシーンはそういった「特に何かがあったわけではないが何かが変」な感じが映画の緊張感を保ちつつ、ある種コメディ要素になっています。犬の躾とかチョコレートの件は、しっかり劇場でも笑いがありましたね。

 

 で、この西野の「なんとなくコミュニケート出来ない感じ」が高倉の日常に侵食してきます。

 鍵を握る少女、隣人の娘、元同僚たち、そして自分の妻までもが実はうまくコミュニケートできていないのでは、という予感が映画全体に滲み出てきます。

 

 そしてその嫌な予感が臨界点に達した瞬間に、それまでの日常から予想もしていなかった世界に否応なしに連れて行かれる後半。

 

 ここからは是非映画館で体験していただきたいので伏せますが、予告編から想像できるストーリーの斜め上をいきます(笑)

 結構ジャンルごとガラッと変わってしまうような舞台だったり小道具が出てきて、異世界感はあるので、「ありえねー」となってしまうかもしれません。ここが黒沢作品とウマが合うかとの分かれ目です(笑)

 

 ただ、この本作は設定からも推測できるように、北九州監禁殺人事件や尼崎事件といった実際の犯罪をベースにできています。

 限りなくフィクション的に描かれていますが、実際に「罪悪感につけ込み巧みに洗脳してくる」人はいるわけです。

 

 

 で、最終的に浮かび上がるのが「私たちのコミュニケーションの危うさ」だと僕は感じました。

 日常の中にある会話。それは本当に通じ合っているのか。

 実際、なんとなく会話を流してしまってコミュニケーションに齟齬が生まれたり、普通に言った言葉で急に相手を怒らせてしまうことってありますよね。(僕だけかもしれない、、、)

 その「コミュニケーションが成立しているという前提条件」が全く自分の錯覚だったら。錯覚と気づいた故に今まで見ていた世界が信用できなくなったら。

 

 そういう怖さがこの映画の語る怖さだと感じました。

 

 もちろん不満点もあります。

 いくらなんでも警察が無能すぎる!これが最大の不満点です。警察がちゃんとしてたらこんなことにはならなかっただろうに。あと、重要参考人の家に一人で乗り込むなよ!!

 まぁこれもコミュニケーションレス故だと思えばなんとか、、、

 

 昨今、「とりあえずホラーだし幽霊とかドーンと出せばいいか!」とか「本当に怖いのは人間です(キリッ)」みたいなホラー、スリラーがある中で、本作みたいな「よくわからんけど怖い」映画が大きく宣伝されてるのが嬉しい限りです!

 

 黒沢作品のなかでも一番わかりやすいエンターテイメントですし、竹内結子よくわからんけど色っぽいですし、あと「嫁の心夫知らず」映画としても楽しめる傑作でした!

 オススメです!!

 

 

 

原作、15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞とってたんですね。知らなかった、、、

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  初めての黒沢作品はこれでしたねぇ

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2度と読みたくないですが一応興味があれば、、、

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『ヒメアノ〜ル』〜映画感想文〜

 ※この記事はちょっとだけネタバレしています。

 

 

 ヒメアノ〜ル』(2016) 

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 上映時間99分

 監督・脚本 吉田恵輔

行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実による同名コミックを、「V6」の森田剛主演で実写映画化。森田が、次々と殺人を重ねていく主人公の快楽殺人犯・森田正一役を演じ、「純喫茶磯辺」「銀の匙 Silver Spoon」などを手がけた吉田恵輔監督がメガホンをとった。平凡な毎日に焦りを感じながら、ビルの清掃のパートタイマーとして働いている岡田は、同僚の安藤から思いを寄せるカフェの店員ユカとの恋のキューピッド役を頼まれる。ユカが働くカフェで、高校時代に過酷ないじめに遭っていた同級生の森田正一と再会する岡田だったが、ユカから彼女が森田にストーキングをされている事実を知らされる。岡田役を濱田岳、ユカ役を佐津川愛美、安藤役をムロツヨシがそれぞれ演じる。 (以上、映画.comより)  

 

予告編

www.youtube.com

 

 

 お母さぁ〜ん、麦茶持ってきて〜!あと、、、

 

 

 

 

  電話の相手は確認してね。

 

 

 吉田恵輔監督の最新作ということで観に行ってまいりました。やっぱりV6効果なのか、割と若めな女性も多くて、その女性たちが所々「ビクッ!!!!」っと驚いているのもほんとによかったです。(ムロツヨシの眼で)

 

 吉田恵輔さんといえば僕は「ばしゃ馬さんとビッグマウス」が生涯ベスト級に大事な作品でして、何回観ても胸が締め付けられるような気持ちになって泣いてしまう作品でして、主演の麻生久美子さんが大好きな女優さんの一人になってしまったぐらいでして、、、(以下略)

 

 他にも「机のなかみ」や「純喫茶磯辺」など、基本はコメディ的な作品が多く、その中でも「さんかく」は吉田恵輔コメディの大傑作だと思います。

 

 以上の作品を並べてみてもわかるのですが、吉田監督は「痛々しいけど可笑しいコメディ」の中に、「今まで想像もしたり目を向けようとしなかった、しかしそこに厳然とある現実」を展開することで、それまでコメディ的であった話がガラッとひっくり返るというお話をずっと描いている監督だと思います。

 

 で、本作はまさにそれが全面に、より鋭く、文字どおり牙を向いている作品でした。

 

 

 

 まずは序盤、「キモい先輩の好きな人と恋愛関係になっちゃった!」的なラブコメ展開になっていくんですが、ここの役者さんたちのコメディ演技が素晴らしいです。

 

 主人公の岡田くん(濱田岳)のダメな童貞感と、先輩に気を使ってる後輩感がハンパない。目の泳ぎ方とか、先輩の無茶な要求に対しての「マジすかぁ、、、」とか、超リアル(笑)あるある(笑)

 

 一方その先輩の安藤さん(ムロツヨシ)の佇まいも良いです。ほとんど無表情で、じっとり話す感じが非常にアブないやつ(笑)です。片思い中のユカちゃんをデートに誘うくだりの不自然さとか、「あぁ〜、気持ち悪い上に最悪だこいつ(笑)」という感じで超笑えます。

 

 で、その安藤さんの片思い相手のユカちゃん(佐津川愛美)の尋常じゃないエロ可愛さ!!

 しかも「エロでござい!」的なものじゃなく、清純な感じで小動物的な可愛さを遺憾なく発揮するんだけど、「付き合ってるから色々なこと(エッチなのもオッケーだよ♡)したいなぁ〜」という清楚系ビッ◯の権化(褒めてます)。

 正直なところ、告白のシーンや、居酒屋デートからのセックスに至るまでのシーンで僕は完全にユキちゃんに惚れていました(真顔)

 

 とりあえず天使系ビッ◯の告白シーンの画像、置いときますね。

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 で、このシーンは本当に可笑しくて、微笑ましい二人のやりとりにニヤニヤしつつ笑えるという細かい描写が続いてからの「あ、後ろに、、、」からの爆笑シーンになっていて、久しぶりに映画館で声を出して笑いました。 

 

 ムロツヨシさんの絶叫の画像、置いときますね。 

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 ここまでは超可笑しいラブコメ映画なんですが、ちょこちょこ主演の森田剛さん演じる森田が絡んできまして。

 この映画で特筆すべきは、この森田の圧倒的な存在感です。

 森田と岡田の会話シーンの違和感、街の清掃のおじさんと森田の会話の異常さ、そしてその佇まいに至るまで、「何か人間として大切なものが欠落している感」があって、森田剛さんまでそういう人なんじゃないかと思えるレベルでした。

 

 その森田の存在感と安藤さんの異常さが、前半の緊張感を良い感じに出していました。

 あと、この前半部は比較的カメラが安定した撮影で、衣装から小道具まで画面が明るいポップな色をしているのですが、森田のシーンだけカメラがグラグラ揺れ、色も暗い感じになっていて、非常に計算されている画面作りでした。

 

 

 そして前半部クライマックス、いよいよ岡田とユキちゃんが幸せの絶頂!(ダブルミーニング)のシーン。

 画面が二人の部屋を映し、エクスタシィィィ!!な声(シングルミーニング)が響くのに被せて、不穏な音楽と部屋を見上げる森田のシルエットが映り、タイトル「HIME  ANOLE」映倫R15の文字が出てくる完璧なタイトルクレジット。

 

 「これまでのラブコメ展開はアバンタイトルで、ここから凄惨なことになっていきますよ」と言わんばかりのこのタイトルクレジットには鳥肌が立ちました。

 

 そして、これを境に日常シーンもカメラがグラグラになり、どんどん画面全体が暗い画作りになっていきます。

 

 そこから展開される森田の凄惨な暴力が、直接のグロ描写は無いものの本当に「生理的に嫌」でして。包丁で細かく刺すとか、逆にゆっくり刺しこむとか、銃の弾着の嫌な感じとか、レイプ描写の嫌さとか、、、

 

 なんといってもタイトル直後の殺人シーンの嫌な感じがハンパじゃ無いです。

 高校時代、森田と一緒にイジメられていた和草くん(駒木根隆介)とその彼女の久美子(山田真歩)が殺されるのですが、死に様が本当に悲惨。頭をカチ割られて体が痙攣する感じとか、徐々に殺されていく久美子の失禁とか。

 

 しかも、そのシーンの森田が久美子を殺すショットと、岡田とユキのセックスのショットを、イマジナリーラインを合わせて並列させる編集の悪趣味な感じ。(絶賛してます)

 こうやって並べられると、セックスという行為の持つある種の暴力性とか、岡田とユキの関係の不安定さとか意識せざるを得なくなって非常に嫌な気持ちに(絶賛してm)。

 そしてこのシーンこそ、前述した吉田恵輔の作家性が牙を向いた瞬間であるわけです。

 「あるところでカップルが幸せに浸っている頃、同時に目を背けたい現実が誰かを殺している、そしてその現実は、実はすぐ近くにある。」そういうシーンだと思いました。

 

殺されたカップルのラッパー時代の画像置いときますね。(余計な情報)

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 ちなみにこの後に続く、事後の岡田とユキの会話でユキの元彼人数が発覚して岡田がふてくされるシーンや、童貞をこじらせた岡田が"あるモノ"を購入し、ユキにドン引かれた挙句、ユキは経験済みだったシーンは可笑しいのですが、やはり「男側の勝手な幻想に対して身も蓋もない現実が現れる」というシーンに見えてくるという上手い脚本。

 

 

 そして終盤、ある人物が森田の暴力を受けたのがきっかけで、森田との過去を語りだす岡田。森田の行動の原因にひとまず答えが出て、いよいよ森田と対峙するクライマックス。

 岡田が森田を説得するのですが、まさかの森田の返答に「理解できたつもりが実は全く理解できていなかった」という逆転構造が再び浮き上がります。

 

 そんな「理解不能」の森田に振り回されながらも、最後の最後で森田が見せる「人間らしさ」とあまりにも哀しい「大切な記憶」に、感動というか、胸が締め付けられるような気持ちになりました。

 

 

 もちろん、暴力描写もありますし心が曇ったまま映画が終わるので人によってはただ不快な映画になってしまうかもしれませんが、前半は思いっきり笑って、後半は嫌な気持ちになり、観終わってから「人との繋がり」や「他者への想像力」を考え直すことができる作品だと思いました。

 

 

 他にも細かい伏線(冒頭の足跡ともう一度出てくる足跡とか、森田の銃を向けて放つ一言とか)のこととか書きたいのですが、いつもの字数より大幅に多くなっているのでやめます(まとめ下手)

 

 前回ポストした「アイアムアヒーロー」に続き(アイアムアヒーローの記事はこちらです)、こういう邦画の素晴らしい作品がシネコンで観れるという事実と、いつもの記事より字数が多いということが、この映画に対して僕が超思い入れてしまった証拠なので、オススメです!と言わねばなりません!(強引)

 

  オススメです!!是非映画館で!!

 

 

 観終わった帰り道には是非この曲を。

youtu.be

 

 

吉田恵輔監督ならこれらも是非。

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