無知蒙昧のモノ語り

映画、音楽、本、雑感などなど好きなものを好き勝手に書いてます。

『貞子VS伽倻子』〜映画感想文〜

 ※この記事はちょっとだけネタバレしています。

 

『貞子VS伽倻子』(2016)

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 上映時間99分

 監督・脚本 白石晃士

「リング」の貞子と「呪怨」の伽椰子というJホラーを代表する恐怖の2大キャラクターの共演が実現した作品。「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズや「ノロイ」「オカルト」などホラー作品を多数手がける白石晃士監督がメガホンをとり、山本美月が主演、玉城ティナ安藤政信らが共演する。その映像を見ると貞子から電話がかかってきて2日後に必ず死んでしまうという「呪いの動画」を見てしまった女子大生の有里。そして、入ったら行方不明になるという「呪いの家」に足を踏み入れてしまった女子高生の鈴香。共に呪いをかけられた2人を救うために立ち上がった霊媒師の経蔵は、貞子と伽椰子を戦わせるという秘策に打って出る。(以上、映画.comより)

 

 予告編

www.youtube.com

 

 

 

 SADAKO v KAYAKO Dawn of ノロイ

 

 

 

 ジャパニーズホラー界の2大スターの共演!どっちが最恐だ!?と話題の本作、観に行ってまいりました。

 平日の夕方でしたが、8割くらい席は埋まってました。何が良いって、ティーンネイジャーらしきグループやら、ワルそうなカップルやら、明らかに普段あまり映画館に来ない人たちがたくさん来てましたね。僕の前にはパツキン盛り盛り、本編ギリギリに入場してしばらくLINEを見てるという「サイコー!!!」なお姉さま二人組がいらっしゃいました。

 

 

 さて、いわずもがなJホラーの大傑作「リング」と「呪怨」の貞子と伽倻子。今や完全にアイコン化してしまってそれ自体怖い存在ではなくなってしまっていますが、僕の中では「リング」とビデオ版「呪怨」が未だに怖かった映画ランキングのトップに君臨しています。

 二人とも「にじり寄ってくる」感じが本当に怖いんですよね、、、

 「何!?え、待って待って、来ないでマジで」的な(ニュアンスだけの文章)

 

 まぁそれ以降、貞子も伽倻子も「幽霊」というか「モンスター」になっていったので、怖がるというよりはアトラクション感覚で観るものとして観ていました。

 

 

 そんな中で、企画された本作。予告や売り出し方からも明らかなように、アトラクション性全開の映画でしたが、意外にも、Jホラー演出も結構丁寧に作ろうとしている印象でした。

 

 

 前半は「呪いのビデオ」をめぐる貞子パートと「呪われる家」をめぐる伽倻子パートが並行して語られていくのですが、それぞれの作品の持つホラー演出の特徴をうまく分けて語っていると思いました。

 

 貞子パートは古典的なJホラー演出(小中理論的)で、冒頭のシーンなんかはかなりよかったと思います。

 すりガラス越しに人影が見えたと思ったら次の瞬間にはいない、なんていうのは本当によくありますが、音とか編集のタイミングなどをちゃんとすれば怖くなるもので、まさに「リング」はその見せ方が完璧だった作品です。

 

 対して伽倻子パートは、ビックリ要素重視、幽霊モロ見せ、ともすれば笑ってしまう(というか結構笑える)ホラー演出でして、これも「呪怨」的な演出だと思いました。

 おそるおそる扉を開けたら猫が飛び出してきてビックリ!からの一安心、からの俊雄クン登場!とか、呪怨シリーズでよく観ましたねー。(ちなみに、三宅隆太氏によるとこれを「なんだ猫か、、、」演出と呼ぶらしいです)

 

なんだ猫か、、、な画像置いときますね。

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 こんな感じで、それぞれの作品の持つ良さの部分を的確に描き分けていて、非常に「リング」呪怨」への愛とリスペクトを感じました。

 

 個人的には、貞子パートのとある女の子の自殺シーンとか良い感じに気持ち悪さは結構怖かったですし、伽倻子パートの呪怨ハウスに入ったガキどもを俊雄がサクサク殺すシーンとかサイコーに楽しかったですね!(満面の笑み)

 あと伽倻子パート終盤、呪怨ハウスに入った鈴花(玉城ティナ)を助けるために、鈴花の両親が呪怨ハウスにシレッと入っちゃった時の「あっ」感(笑)

 前述した僕の前にいたお姉さまが「え、入って良いん?」って呟いてたのが印象的でした(笑)

 

 

 脇を固める役者さんも良い感じでしたねー。

 山本美月さんのちょい下手演技(褒めてます)と美しさも、玉城ティナさんの今にも死にそうな雰囲気(褒めてます)もホラーというジャンル映画の醍醐味ですし、うさんくさい先生役の甲本雅裕さん、「あ、こいつ死ぬな」感プンプンの霊媒師役の田中美里さんも素晴らしかったです!

 

 しかし何より特筆すべきは夏美を演じる佐津川愛美さんですよ!!

 「ヒメアノ〜ル」の記事でもその魅力を絶賛しましたが、本作もかなり良いです。破滅的になっていく夏美の演技は、かなり良い感じに絶望を表現していたと思います。佐津川さん素晴らしい。

 あと「ヒメアノ〜ル」もそうでしたが佐津川さん、「性と暴力」を感じるシーン多い気がします。あくまで個人の意見ですが。

 

 で、後半。ここからは白石ワールド炸裂です。

 謎の霊能力者コンビの経蔵(安藤政信)と珠緒(菊地麻衣)

 ざっくりした作戦を用意し、いざ決戦へ!!

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 死地(呪怨ハウス)に向かう姿はさながらワイルドバンチ!!

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 そして待ちわびた貞子と伽倻子(&俊雄)の直接対決!!いったいどう戦うんだ!!

 最終決戦の末、予想だにしない結末に爆笑!!

 

 

 これは是非、自分の目で確認してくださいね。

 

 

 で、ここからは上記の褒めポイント&僕の楽しみ具合を前提に、不満点を書いていきます。

 

 

 まずこれが一番の問題だと思うのですが、前半のホラーパートがそれほど怖くない。

 先述した通り、かなり丁寧に作ろうとはしているのですが、並行して語ることで結局怖い映像100連発!みたいな感じに散漫なってしまっていると思います。

 怖いっぽい映像を見せられても、映画ではそこまでの予兆の時間をいかに丁寧に作るかが重要なので、かなり怖さが目減りしてしまっている印象でした。だからといってこれ以上長くされても嫌ですが。

 

 前半は本当に怖くできる余地がかなりある分、勿体ないなと思ってしまいました。

 

 

 これも致命的ですが、あれだけ楽しみにしていた貞子と伽倻子のバトルシーンが短い。

 バトル自体、割とあっさり終わってしまうので非常に物足りなさを感じました。

 もっと色々な戦い方ができたはずです。俊雄なんか一瞬で退場ですし。人間が勝って解決という展開にならないのは前提なので、もっと両者のバトルを見たかったなぁと。

 最終的な結果には満足してるんだけどなー、、、

 

 あと、これは完全に個人的にですが、細かいディテールの雑さとか珠緒がウザさが気になってしまいましたね。

 

 

 というわけで、アトラクション方向に振り切るなら完全に振り切ってほしいし、オリジナルの両作に対する愛とリスペクトを感じるだけに、そこは徹底的に怖くしてほしかったです。中途半端に収まり良くまとめちゃった感は否めないです。

 

 

 まぁ色々言いましたが、ホラー映画にはやっぱりジャンル映画的な側面があります。だから、劇場の雰囲気や他のお客さんの反応込みで楽しむことができます。

 僕で言うと、叫んだり爆笑したりのパツキンお姉さま方がサイコーにおもしろかったし、もちろん映画も楽しんだのですが、そういう雰囲気が嬉しくて、結果的にすごい満足度の高い映画体験でした!

 

 ですので本作は、できれば映画館で、ビテオでもできるだけ大勢の人と一緒にキャッキャ言いながら観るのがオススメです!!

 

 

聖飢魔IIの歌うEDも超楽しい感じでしたよ!

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小説版も出てますねー

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