無知蒙昧のモノ語り

映画、音楽、本、雑感などなど好きなものを好き勝手に書いてます。

『野のなななのか』〜映画感想文〜

 

今では過疎ってきたmixiでポツポツ映画の感想とか書いてたのですが、意を決してネットの大海原に飛び出してみました。

拙い文章ですが、映画やら音楽やら日常のこと勝手に書いていこうと思うので、よければ骨を拾ってください(笑)

 

で、一発目何を書こうと考えてたのですが一応このブログのグループが「映画」なので映画のことがいいかなーと。

そしたら一昨日予約していたこの作品のDVDが届きましたので、野のなななのかDVD発売記念』ということで、大林ファンとしてこの作品を一発目に決めた次第です。

 

 

 ※この記事はちょっとだけネタバレしています

野のなななのか』(2014)

 

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 名匠・大林宣彦監督が北海道芦別市を舞台に描いた人間ドラマで、2011年の監督作「この空の花 長岡花火物語」の姉妹編ともいえる作品。ひとりの老人の死によって郷里へ集まった家族の姿と、その老人の人生に大きな影響を及ぼした戦争体験を通し、3・11以降の日本再生のあり方を問う。芦別市で古物商を営む元病院長・鈴木光男が92歳でこの世を去り、離れ離れに暮らしていた鈴木家の人々が葬式のため帰郷する。そこへ現われた謎の女・清水信子により、次第に光男の過去が明らかになっていく。1945年の太平洋戦争終結直前、光男は樺太ソ連軍の侵攻を体験しており……。タイトルの「なななのか」は、四十九日の意。(以上、映画.comより)

 

予告編

youtu.be

 

 

 

 完全に面食らいました、、、(笑)

 

 前作『この空の花~長岡花火物語~』との姉妹編で、『シネマゲルニカ』と銘打たれたこの作品。

 『この空の花~』は、スピーディで情報量が多くてとにかくヤバい映像(説明放棄)、けど最後はきっちり大円団で感動!みたいな奇跡のような映画でした。←コレに関してはまた後日ちゃんと書きます(笑)

 一言で言えば、「凄いヘンでわけわからんけど、ものすごく感動している、、、!」みたいな状態(≒軽い躁状態)になれる映画ですね。

 

 

 というわけで、本作もある程度覚悟していたのですが、なんなら前作より飲み込みづらい作品でした(笑)

 

 今回は割と「物語」あるし、その点では前作より解りやすいはずなんです。

 が、まず会話とかナレーションによる情報量が半端じゃない。しかも登場人物同士の会話が微妙に噛み合ってなかったり、説明がないまま固有名詞とかバンバン出てくるので、「お話」をなぞることはできても、いまいち腑に落ちないように出来ています。

 もちろん時制もシャッフルされて、大林監督作品にはよく出てくる「死者と生者、過去と現在と未来の混在」が本作はとにかくヒドい(褒めてます)

 あとこれも監督の十八番ですが、トンデモ合成処理が本作もすごい。窓の外の風景が一瞬で違う季節になってたりは慣れっこだったのですが、今回はおもわず「ヒェッ」てなる合成が、、、マジでビビりました、、、(キーワードは「安達祐実」と「あの白黒写真」)

 

 とまぁこんなかんじで、話だけ取ればいくらでも解りやすい映画にできたはずなんですが、やっぱりヘンな映画でした(大絶賛)

 

 

 

 そもそも、あらすじにもあるように「鈴木光男(品川徹)の過去」が本人の独白で明らかになるんですが、登場人物の生きている人たちがその過去を知る場面は無いんです。

 じゃあこの独白は誰に向けて語っているのか、誰が鈴木光男の過去を知っているのかという。

 さらに言えば、登場人物が持つ「清水信子(常盤貴子)に対する記憶」は結構バラバラで、一応それらしき説明はあるんですが辻褄は合わないし。

 

 

 実はこの作品内の現在に生きる人たちは、光男や信子、お互いに対して「自分の記憶や求めるイメージ」=「過去や幻想」でしか理解していないのではないでしょうか。

 で、その理解の穴を埋め、自分の過去に区切りをつけるのがラストの「野のなななのか」のシーンなのかなぁと。

 その中には過ちや後悔や正しくなさもあるけども、未来を生きるために、迷わないように踏ん切りをつける。そしてその次のシーンでは止まっていた時計が再び動きだす。

 

 と考えれば、やっぱり大林監督が一貫して映画にしてきたメッセージかもしれないですねー。

 

 芸術やフィクションは人の生きる力になると同時に、誰かを自分の望む幻想に閉じ込めてしまうという話は「はるか、ノスタルジィ」「時をかける少女」でもやっていたし、誰かの代わりに誰かが生きるっていうのは「転校生 さよならあなた」だし、「ふたり」「あした」「その日の前に」的な死生観も含んでいる。

 また、前作では「人間の想像力」やフィクションの力強さを肯定的に押し出していましたが、今作はそれに対するある種の危うさも含んだ内容だったかなぁと思っています。

 

 だから、最後までオールハッピー感を味わえない。味わわせてくれない(笑)。そこも考えろということですかねぇ、、、

 

 で、そんな171分の間に浮かび上がってくるのが、芦別の炭鉱と文化の歴史と原発、戦争と失われた青春の物語。

 それら全部ひっくるめて、「どう生きて、どう死ぬか」ということを問いかけてきます。

 

 

 

 そんな映画、受け止めきれるかーーー!!!!!!と思いますが、挟まれるパスカルズの音楽や芦別の美しい映像、登場人物のキャラの濃さ(笑)のおかげで鑑賞後の感覚として、ズシンとくる希望に溢れた映画だと思いますよ。さすがは映像の魔術師です。

 あと、特筆すべきは安達祐実の圧倒的な美しさですね。マジで16歳に見える(笑)めちゃ可愛い(笑)合法ロ○(笑)

 ほんと大林監督は女優を撮るのがうまい!≒スケベ(超誉めてます)

 一応リアルに小さい頃の安達祐実少女置いときます。

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 他にも冒頭から赤い色が多用される美術とか、孫たちの名前に「夏」がないとか、親世代の不在=継承の断絶?とか、めちゃくちゃやってて実はすげー計算されてる作りであることは間違いないですし、この映画の持つ不穏な美しさやメッセージはまさに「ゲルニカ」的。

 とにかく「またすげーもん見せられた、、、!」という点で大満足のでした。予約して買ってよかったー、、、

 

 

 

 無闇にオススメしませんが、興味がわいたら是非!(DVDレンタル出るかわかりませんが)

 

www.amazon.co.jp